ECOだより





温暖化とは、ただ単に気温が上がるだけではありません。
地球誕生以来、あらゆる生物が
進化の過程を経てこれまでの
環境や気候で共存共栄してきました。
しかしこの半世紀の
急速な温暖化には、
多くの生物や自然は対応できず
様々な影響や被害を
現在から未来へもたらそうとしています。
いま温暖化にブレーキをかけ
住みよい地球を取り戻すために
努力が必要です。


絶滅生物 近い将来確実に絶滅するといわる北極グマ(シロクマ)
地球温暖化ともっとも密接に関係している動物は北極グマだといわれています。

WWF(世界自然保護基金)は、北極の急速な温暖化への対策を緊急にとらなければ北極グマは絶滅すると警告しました。

温暖化で氷が40%も減少して餌であるアザラシを捕獲できず、栄養失調のメスグマから生まれる子グマの生存率が減少しています。北極グマの平均体重は1980年で295kgであったのに対して、2004年には230kgで約65kg減です。過去の事例から推測すると絶滅動物の典型的パターンとなっています。

地球上には約144万種の生物が生息しており、たくさんの生物が共存していくことを生物多様性といいます。しかし今、身近なメダカや昆虫、ゴリラ、オランウータン、トラ等が猛スピードで減っています。これは6500万年前、恐竜や生物の85%が地球から大量に絶滅して以来の出来事です。

1種が絶滅すると生態系と食物連鎖が狂い絶滅の連鎖反応が広がります。
地球温暖化の抑止は人間の責務です。



森林喪失 森林は生きもの生命循環システム
かつて陸地の40%は森林でした。しかし森林破壊は、人口増加により木材や紙パルプ、食糧確保のための農地転換による伐採、酸性雨や乾燥地域の拡大などによる深刻な環境破壊が大きな原因で年間520万haが減少しています。

森林はたくさんの生物が暮していける豊かな環境と酸素(02)を作ってくれます。世界の異なる森林やジャングルには、様々な種類の植物や動物で構成された生態系があり、地域の河川や地下水により酸素を多く含んだ栄養豊かな水が海へと流れ海洋生物や資源の生育を助けています。水の浄化、洪水など自然災害の抑制、原料の供給など、森林は生命と自然をコントロールする循環システムなのです。

森林の消失は温暖化だけではなく、生物の存続、食糧問題にも関係のある深刻な問題です。

森の再生活動により植林、保護などが進んでいますが消失するスピードが速く、森林緑地の再生が間に合っていません。



渇水 水不足に干ばつ・砂漠化
人口増加や産業発展、耕地面積拡大で水の需要が高まり川や河川からの取水量も100年前の8倍、そして水質汚染、汚濁と様々な要因が重なって世界中の水環境は最悪な状態に向っています。

干ばつとは雨が降らない、地下水が枯れるなどの原因で地域に起こる長期間の水不足の状態をいいます。

砂漠化とは、木や植物に覆われた土地が不毛地になっていく現象です。

干ばつや砂漠化も自然現象は別として多くは人類の活動が原因となる人為的な行為によって引き起こされたものです。日本は山や川があり四方を海に囲まれているので深刻な干ばつになったことはありませんが、いま温暖化により、長期間に渡って降水量が激減していたり、突然の豪雨で土砂崩れなどが起こるといった異常気象が多発する地域が増えています。降水量のあった地域が突然干ばつになり、畑が無くなった例もあります。

オーストラリアでは降水量が極端に減り、作物が育たなくなり土壌が痩せて畜産や農業に大きなダメージを受けています。畜産王国オーストラリアの干ばつは世界中の穀物価格の高騰や食糧危機を招き経済を直撃します。

現在、砂漠化現象は世界各地に広がっており、スペインでは国土の30%以上が乾燥地域になり、さらに毎年四国・九州の面積に等しい陸地が砂漠化し続けているのです。多くはアジアとアフリカに集中し、作物の収穫ができなくなる状態になりつつあります。砂漠化した土地に緑の植生を取り戻す試みを世界各地で行なっていかなければなりません。
参考資料:朝日新聞/「世界の人口調査」(総務省統計局)/農林水産省・食料/地球温暖化白書