ECOだより





放射能、放射線、放射性物質の違いと影響

東北・東日本を襲った巨大震災が引き起こした福島第一原発の事故により放射能、放射線、放射線物質、ヨウ素、シーベルト他、普段は殆ど耳にしない単語が新聞やテレビ、 ネットなどに登場し、人体への有害性やその作用がどのように影響をおよぼすかの知識もないまま放射能情報にとまどい、日本中が不安な状態に置かれています。

風評に惑わされないためにも正しい知識に基づいて対処する事が必要です。


放射能、放射線、放射性物質の違い
 地球上のあらゆる物質(生物体、非生物体)は分子←原子←原子核←素粒子という階層構造を成して存在しています。水素原子例この階層構造中の原子(元素)の中のごく一部は不安定な性質(例:天然ウラン)をもっており、自らの原子核を崩壊させて別の安定した原子(元素)に変わろうとします。

原子(元素)とは原子核を電子が囲んでいる状態で存在しており、さらに原子核は「陽子+中性子」の連結で構成されています。この「陽子+中性子」の連結が崩壊することを原子核崩壊といい、原子核崩壊を起こした原子(元素)から放射線が放出されてきます。
電球に例えると。。
※陽子、中性子、電子は素粒子の一部です。

 放射線を出す物質のことを放射性物質(元素)といい、放射線を出す性質があることを「放射能」があると表現します。3つの表現の違いを電球に例えると、「放射線」は電球の光、「放射能」は電球の光を出す性質(能力)で、電球が「放射性物質」となります。

主な放射線の種類と遮へい素材


人体への影響を表す放射線量(Sv)は放射線の影響の大きさを補正した放射線荷重係数を換算して表されます。

シーベルト(Sv)=ベクレル(Bq)×放射線荷重係数



放射線の強さや量を表す単位




放射線の影響と人体の防護機能
 人体が大量に放射線を浴びると細胞の根幹を形成している原子構造が破壊され、生体内に多量に活性酸素が生じて細胞やDNA(遺伝子)を激しく損傷し、被曝細胞を壊死またはガン化させてしまいます。

しかし、人体は細胞やDNAに損傷を受けても生体内の損傷修復酵素の働きで、その損傷を高い確率で修復する能力があります。また、細胞やDNA損傷の修復に失敗しても次の安全策が準備されており、人体は損傷を受けた細胞を検出するとその細胞が異常を起こす前に自動的に損傷細胞を排除してしまうアポトーシス機能を備えています。

このように「損傷修復酵素」と「アポトーシス機能」という二つの防護機能により人体はある程度までの放射線量に耐えられるように構築されており、成人の被曝線量限界は200〜250ミリシーベルト/hです。

 自然界にはラドンやラジウム、必須ミネラルのカリウムのように放射線を自然放出する物質が豊富にあり、人体は一定量の放射線を浴びると生体ホルモン活動が活発になって健康が促進されることが確認されています。

微量放射線の健康作用を「ホルミシス効果」といいます。



いろいろなレベルの放射線量とその影響