ECOだより





行政姿勢に疑問!カドミウムの安全基準
わが国では現在、米の残留基準を1ppm未満に設定、これを超える米は農家から買上げて焼却処分しています。農水省は0.4ppm以上の米を「準汚染米」として買上げ、工業用原料にしています。2009年、汚染米、事故米として大きな社会問題になったのも記憶に新しい事です。

厚労省は畑作物に含まれるカドミウムの国際基準に順応するため環境省や農水省が実施した調査結果に基づき安全基準を設定する予定だったが、厚生労働省の諮問機関「薬事・食品衛生審議会」に正しい調査結果が伝えられていなかったため安全基準の設置が見送られることになりました。
カドミウムの害

鉱物中や土壌中などに天然に存在する重金属で鉛、銅、亜鉛の金属とともに日本では古くから鉱山から採掘されていました。カドミウムの高濃度摂取は腎臓機能に障害を起し骨軟化症を招きます。カドミウムを含有する肥料も汚染原因となり、日本初の公害病で四大公害病のひとつであるイタイイタイ病はカドミウムが原因です。


環境省:カドミウムで汚染された土壌調査
この調査は「畑作物等指定要件検討基礎調査」で、国内の安全基準を設定する場合に必要なデータ収集として環境省が実施した初めての全国調査で、07年6月と08年5月に各都道府県に依頼し 年3月までにとりまとめられました。 
環境省土壌環境課は有害重金属カドミウムについて汚染された一部地域の土壌から生産された作物から高濃度のカドミウムを検出した調査結果を得ていました。

しかし、・・・・・

審議会に参加した同省土壌環境課は「畑作物の国内安全基準が設けられることを想定していたが、審議会で基準設定が見送られたため基準設定の参考資料にならないと考え調査結果は提出しなかった」とのこと。


農水省:カドミウムに汚染された作物の調査
この調査は「農作物に含まれるカドミウムの実態調査」で96年〜02年に47都道府県を対象に、畑から直接採取したり、収穫後の作物から抜き取ったりする「現地調査」と流通している作物を買う「市場調査」の2項目でカドミウム濃度を分析しましたが、重金属による汚染農田(転作や二毛作で作られる作物)は対象外とするよう47都道府県に指示しています。汚染地を除いた理由は「高濃度作物ばかり集めると偏ったデータになるとの判断」によるものです。調査の結果、国際規格の安全基準を上回った作物は対象の4.4%で、土壌の最高濃度は0.8ppmだったと報告されました。

畑作物カドミウム調査報告と各省庁


厚生労働省 薬事・食品衛生審議会は安全基準の先送りを決定
「一般的な日本人のカドミウム摂取は健康に悪影響を及ぼす可能性は低い」と判断され、安全基準作りは先送りにされました。
環境省や農水省の報告は公正さを欠いており「安全基準が審議される時に汚染の事実があることが報告されていれば3年〜5年後に再検討するという結論は違ったかもしれない」と当時の委員である某大学教授が論評しています。

食の安全のためにも国内の畑全体の汚染実態を早急に把握し、国民が納得する報告がなされるべきです。また、新たな食への危機を感じさせます。

農水省=農林水産省 厚労省=厚生労働省