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水道水の正しい知識 残留塩素の正体は?・・・・・  
水道水は全国各地の浄水場で作られています。水道水の原水となる水は、その地域を流れる川や湖の水です。川や湖の汚れ具合にもよりますが、生活雑排水の混入など環境汚染の広がりにともなって、各地域の浄水システムの向上(高度浄水処理設備の導入)が求められています。しかし全国に普及するにはまだまだ時間が必要な状況にあります。
高度浄水処理方法、および現行浄水処理方法のいずれの処理方法を用いても一般細菌、大腸菌、伝染病の元となる病原菌、ウイルス等の水系感染症の予防のために残留塩素と称される殺菌剤が使用されています。
「残留塩素」という名称は造語で、実際に殺菌漂白作用を示している物質名は「次亜塩素酸」といいます。水に多量の塩素を投入すると化学反応が発生し、次亜塩素酸が生成されます。次亜塩素酸は非常に強い酸化力を持っており、水道水の原水となる川や湖に動物の死骸が混入していても、その酸化力により死骸の肉片をも溶解して消滅させることができる成分です。この次亜塩素酸の効力(下写真)は市販の液体塩素系漂白剤で実験するとよく分かります。


ガラス容器に原液を入れ1cm角ほどの豚肉の肉片を浸すと4時間30分で溶解して消滅しました。

このように水道水となる原水がどんなに汚れていても次亜塩素酸の強力な酸化力によってあらゆる汚れが酸化され除かれることになります。  
水道法では全国共通で蛇口から出る水に残留塩素(次亜塩素酸)濃度が0.1mg/L(0.1ppm)以上確保されていることが義務付けられています。また、この残留塩素濃度には上限がありません。そのため雨の後や日照りが続いた場合は残留塩素濃度が高められ、カルキ臭と呼ばれる臭いが強くなり不快感を感じます。
水道水で金魚やメダカを飼うと死滅するケースがあるのは残留塩素濃度に上限が決められていないため発生する事例の一つです。次亜塩素酸を残留塩素として混入させている水道法の第一の目的は水系伝染病の発生を防ぐことですが、塩素濃度0.1mg/L(0.1ppm)の水道水に触れた瞬間に約30万個の皮膚細胞が酸化(破壊)されるという研究報告もあり、水道水をそのまま飲料水や料理の水として使用するのは健康上絶対に避けるべきです。また、一番風呂でカルキ臭を強く感じたり、肌がチクチク感じることがあるように、生活習慣の中で見落とされていますが、浴室の湯気やシャワー水流の水蒸気は残留塩素(次亜塩素酸)やトリハロメタン(発ガン性物質)が帰化しガス化したものを呼吸によって微量ながらも吸い込んでいる状態となりますので入浴時の水道水対策も気配りが大切です。

※高度浄水処理方法 通常の浄水処理では充分に対応できない臭気物質やトリハロメタン、陰イオン界面活性剤、アンモニア態窒素などを処理するために、通常の浄水処理の他に追加して導入する処理のことです。 代表的な高度浄水処理の方法としては、オゾン処理法、活性炭処理法及び生物処理方法等があり、原水の 状況によってこれらの処理方法が単独又はいくつかの組合わせにより行われています。

※次亜塩素酸・・・化学式HCIO-で表され記号のO-部分が活性酸素の役割を担う強力な酸化力を
            持つ物質
※0.1mg/L(0.1ppm)・・・100万分の1の単位